不動産業者から物件の紹介を受けたとき
「何でこんな物件を見せられるんだろう?」
と思うことはありませんか?
実はこれ不動産業者が一番おススメの物件を良く見せるために
参考としてご案内する「回し物件」と呼ばれるものです。
今回は、回し物件とは何か?
どんな意図を持ってご案内しているか?
騙されていないか、騙されないためにはどうするか?
現役不動産屋社長の私が詳しく解説いたします。
「回し物件」知られざるご案内テクニック
まわし物件、本命物件とは?
「まわし物件」とは、冒頭でご説明しているように、一番おススメの物件を良く見せるために、参考としてご見学いただく物件です。
そして、不動産業者がお客様の一番おススメしたい物件を「本命物件」と言います。
「うーん。何だか騙されてるの?」
って思う方もいらっしゃると思いますが、これ不動産屋共通のマニュアルのようなもので
どんな不動産業者に行ってもこのテクニックを使ってご案内をされることがほとんどです。
悪意を持って回し物件をご紹介する悪い営業マンも居ますが、
ごく普通の真面目な不動産屋さんも当然のようにこのテクニックを使っています。
なので今回、「なぜまわし物件をご案内するのか」
悪意を持った回し物件のテクニックに引っからないためのコツについてご説明していきます。
まわし物件とはどんな物件か?
まず、不動産営業マンはお客様をご案内する前に、お客様のご要望を事前に詳しく伺ったうえで、お客様にとって一番おススメの物件が何か考えます。
希望の築年数、駅からの距離、土地・建物の広さ、ご予算、希望エリア、ご勤務先までの時間、坂の具合、現在のお住まいのご不安等々、一通りお伺いして、どの物件がお客様にとってベストかを先に考えます。
その上で、どういった物件を見学していただくか、案内コースを組むのですが、その中にご希望とちょっと違う物件を入れます。
例えば、築年数が古い、建物が狭い、坂がきつい、割高の物件という風に、参考までにお客様のご要望とちょっと違う物件を挟みます。
これが「まわし物件」と言われるもので、「本命物件」の引き立て役のような物件になります。
なぜまわし物件をご案内するのか?
まわし物件をご案内するのがまるで悪のようにいう人もいますが、多くの不動産の営業マンには悪意が無く、似たような物件を沢山お見せして、何が良いか迷うことが無いようにまわし物件をご案内しているのです。
例えば、フルコースのディナーに行って、メインディッシュのステーキばかり出てきたら誰でも飽きるのと同じように、前菜→スープ→海鮮料理→ソルベ→メインディッシュという風に、ご案内の際もきちんとストーリーを組み立てています。
なので、ご案内のコースを組むときに
「少し小さい物件をお見せしてちょっと物足りないと体感していただく」→
「少し古めの物件をお見せして、新築が良いとご体感いただく」→
「日当たりが悪い物件をお見せして日当たりが重要だとご体感いただく」→
「最後に一番おススメの物件をご見学頂く」
というのがご案内のセオリーとなっております。
営業成績の良い営業マンは、お客さまのご要望を伺ってからご案内させていただくときには1番おススメの物件と合わせて、2番目、3番目は勿論、5番目位までのおすすめな物件も全て用意しています。
その上で、一番おススメな物件を際立たせるようにお見せしているのです。
よくよくお話を聞いたうえで、2番目や3番目におススメの物件の方がよいと思えば、きちんと2番目、3番目のご案内しますし、1番のおススメ物件に確信が持てない場合は、2番目、3番目のおススメ物件も見て頂くのが普通です。
「回し物件」とか言うと悪徳不動産屋さんみたいだね
ご案内のマニュアルのようなものだから、健全な不動産屋でも使うテクニックだね
問い合わせした物件と、おススメ物件だけ見たい場合はどうする
ちゃんとした不動産業者であれば、問い合わせした物件や、おススメ物件だけでももちろんご案内してくれます。
しかし、お問い合わせした物件やおススメの物件だけを見ていても、それが本当にお客様にとってベストな物件か、お客様自身も分からないと思います。
だから少しご希望と違う「まわし物件」を見ていただくのです。
なぜまわし物件をご案内するのが悪のように思われるのか?
今では、物件価格が高いか安いかはインターネットを見れば大体わかりますが、インターネットが普及する以前は、一般の方は不動産業者を通して以外、不動産の情報を手に入れることは難しかった時代がありました。
それを良いことに、不動産営業マンの中には、とにかく報酬の高い物件をお客様に勧めようとする人も居ました。
不動産の仲介手数料は[(物件価格×3%)+6万円]+消費税が一般的ですが、不動産業者が売主の場合は、仲介手数料とは別に業務委託料や、広告宣伝費という名目で報酬を受け取ることが出来ます。
このため、法定の手数料とは別に報酬を受領できるような、市場価格より少し高めの不動産を売るために、明らかに条件とは異なるようなまわし物件をご案内し、報酬の高い物件を勧めるような事がありました。
このような時代があったので「まわし物件」をご覧いただくのが悪のように言われていますが、インターネットを通じて不動産業者の評判や、不動産の価格が分かるようになった現在、報酬の高い物件を勧めるために、明らかな「まわし物件」をご案内することはほとんどなくなりました。
悪意のあるまわし物件に引っかからない為に
悪意のある回し物件に引っかからないためには、インターネットなどで見たい物件があれば、見たいと伝えたり、不動産業者のリサーチをするようにしましょう。
きちんとした不動産業者であれば、大して気に入ってもいない物件を無理やり勧めたりすることもありませんし、納得いくまで物件を見せてくれるはずです。
他にも、案内をされていて不審なことがあれば、ウチカツなどで不動産相談をしてみましょう。ウチカツであれば、無料かつ匿名で複数の不動産業者に不動産購入の相談が可能です。
複数の回答の中から、気になる不動産業者に直接相談可能なので、そもそもどこの不動産業者に相談したらよいか分からない時などはおススメです。
不信感が少しでもあれば、早めに相談してきちんとした不動産業者を探しましょう。
売却中の物件、賃貸募集中の物件が回し物件にされていたら?
もしあなたが売主さんや、貸主さんの立場で買主や借主を募集している場合で、案内は入るけれども中々決まらないというケースもありますよね。
そういった場合は、もしかしたらあなたの物件が本命物件の引き立て役の回し物件にされている可能性があります。
前述しているように、不動産業者はお客様に見せる物件は一件だけでなく、条件に合わない物件を最初に5,6件ほどご案内し、最後に1番おススメの物件をご案内します。
この、最初にご案内する5,6件ほどの引き立て役の物件が、本命物件を良く見せるための回し物件です。
回し物件にされやすい物件は?
少し価格設定の高い物件や、状態の悪い物件、古い物件など、使いにくい間取り等は回し物件として使われてしまう事があります。
「回し物件」は管理が行き届いていない物件が多く、不動産業者が掃除や修繕した方が良い箇所などを指摘しても、対応せず、不動産業者の価格が割高だというアドバイスもあまり聞かない方の物件の場合、まわしにされてしまうこともあります。
あえて回し物件にされている事もある
不動産業者があえて回し物件にして、ご案内は沢山入るけれども、全然お客様が付かないというという事実を伝えるために、あえて回し物件にされている事もあります。
あくまで不動産業者でなく、一般の方も見たうえで、魅力がないという事を立証するために回し物件としてご案内されている事もあります。
回し物件にされない為に
回し物件にされないようにするためには、売り出し中、賃貸募集中の物件を綺麗に清掃したり、価格を適切にすれば必然的にお客様は付きます。
また、リフォームしないと中々お客さんが付かない場合、リフォーム費用の見積もりも不動産業者やリフォーム屋さんにお願いして出してもらうようにしましょう!
魅力的な物件になれば、必ずお客さんはつきます。
信じてた営業マンに回し物件として使われてたらショックだね
悪意が無くても結果的に回し物件になってしまうことはあるんだ。
価格設定や物件を綺麗に保てば、どんな物件も大抵売れるんだ
それでも買主、借主が現れない場合
不動産業者の広告の打ち方や、お客様への紹介の仕方がそもそも間違っているかもしれれません。
不動産業者でも担当営業によって、魅力のない図面を作ったり、物件の魅力が全く伝わらないような写真を撮る方もいます。
また、レインズという不動産の売却や賃貸の依頼を受けたら掲載しないといけない、不動産業者のみが閲覧できるサイトへ登録していない可能性もあります。
(専任媒介、専属専任媒介の場合、レインズへの登録は義務です
そんな場合は直ぐに不動産業者を変えることを検討しましょう。
著者プロフィール
株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋樹人
法政大学工学部建築学科卒 2020年より同社代表に就任、ニッチな不動産でお馴染みURUHOMEを立ち上げ後、日本全国から不動産の悩みが寄せられる。不動産業界における高すぎる広告費の問題から、利用者と不動産業者のマッチングが適切に行われていない事を問題ととらえ、業界初の不動産業者も利用者も無料で利用できる不動産SNSウチカツ(UCIKATU)を2022年にリリースした。