投資用の不動産を探している方なら、一度は「三為業者」とか「三為契約」という言葉を聞いたことがあると思います。
「そもそも、三為契約って違法なんじゃないか」
「三為業者は悪徳業者」
と色々な情報がある中で、その真偽と三為業者の見分け方
三為業者を使うメリットデメリットを解説してまいります。
三為業者って何?
三為業者とは、「第三者の為にする契約」により、利益を上げる不動産業者の事を言います。
また、「第三者のための契約」とは、転売目的でする不動産の契約の事で、三為業者は売主から不動産を購入し、買主に売却するのですが、実際には三為業者は登記をせずにそのまま買主が登記をするという流れを取ります。
三為業者が購入するためでなく、あくまで第三者の為に売却するためにする購入の契約なので、「第三者の為の契約」と言います。
本来であれば、不動産売買をする際の仲介業者は[(売買金額×3%+6万円)×消費税]が受け取れる仲介手数料の上限ですが、三為業者は一旦購入した上で第三者に売却するため、仲介手数料の上限に関わらず利益を出すことができます。
更に登記をせずにそのまま買主に売却するため、購入の際の登記費用も不動産取得税もかかりません。
「第三者の為の契約」と「新中間省略」について
「第三者の為にする契約」について説明するに当たって、「新中間省略」の事にも触れなければなりません。
「新中間省略」とは、不動産の売買をAからB、BからCへと順次売買する際に、AからCに直接登記を移転し、Bへの登記を省略するため、このように呼ばれます。
「”新”中間省略」と言われるのは、平成17年に不動産登記法の改正や平成19年の新しい中間省略を認める通達などで、「AとBの売買契約については、Bが指定する第三者が直接権利を取得するために行う」という特約付きでの契約内容(この契約の事を「第三者のための契約」と言います)でないと、法務局が登記を受け付けないという内容に変ったため、「”新”中間省略」と言われるようになりました。
更に「BとCの契約では、AからCへ直接所有権を移転する」という特約を付けます。
その上で、次のような順序で売買契約が進みます。
また、AからBへ売買契約をする際に、既にCが決まっているような場合は、AとBの契約の中の特約にはCに移転するという特約を付けることもあります。
三為契約は違法?
「第三者の為の契約」自体は違法ではありません。
「ABCのすべての関係者が同意していれば、AからCへ直接登記を移転しても良い」という最高裁の判決が出ています。
問題は、法務局が所有権移転などの必要性が発生した場合、全て登記すべきとの考えをもっているので、中間省略を認めていなかったのにもかからわず、実務では中間省略が行われていたことです。
平成17年の以前は登記申請の時に売買契約の写しが必要なかったので、Aが実際にCに売却をするのは知らずに中間省略が行われていたのですが、法改正により売買契約の際に AB間、BC間の全ての契約書が求められるようになったのです。
つまり、第三者の為にする契約が違法なのではなく、以前のように、Aの合意を得ずにBが直接Cに登記をさせることが出来なくなったという事です。
三為業者はなぜ怪しいのか?
一般的な不動産の売買仲介であれば、売主・買主から仲介手数料[(売買価格×3%+6万円)+消費税]の上限しか受領できません。
例えば、1億円の不動産の仲介した場合、下記の様な計算で336万6000円が売主・買主それぞれから受領できる上限で、合計673万2000円となります。
(1億円×3%+6万円)×消費税=3,366,000円
3,366,000円×2=6,732,000円
しかし、三為業者が売主から1000万円で物件を購入し、1億円で売却した場合、9000万円がそのまま利益になります。
100,000,000円-10,000,000円=90,000,000円
つまり三為業者は転売目的として不動産を安く購入し、高く売却をするため、昔の土地転がしのように悪徳業者のように思われるのです。
どんな会社が三為業者になるの?
元々三為契約だけを生業としている業者は多くは無いのですが、結果的に不動産を購入して、そのまま売却するという流れを繰り返しているうちに三為契約が多くなった業者がほとんどだと思います。
また、三為契約を行う多くは投資用の不動産会社です。
一棟ビル・マンション・アパートや、ワンルームマンションなどを取り扱う事が多く感じます。
多くの不動産業者は、一戸建てやマンションを購入し、リフォームしたり、建物を解体して土地として売却したり、建物を建て替えて販売するので三為契約で販売する事は多くありません。
しかし、投資用の不動産は投資商品として、購入して手を加えずに売却する事ができるので、三為契約が多くなります。
三為業者は悪徳なの?
三為業者の中には、第三者のための契約をする際に、調査や新賃貸借契約書のまき直しなど大変な作業を全て仲介業者に任せ、自分たちは何もせずに三為契約をして、買主に対してもまるであたかも自分たちが全て大変な事をしたかのように我が物顔で利益をむしり取る最悪な会社があることも事実です。
仲介業者にとっては本当に最悪な会社ですが、実際に売主と買主が納得して購入しているので、悪徳とまでは言い切れないところもあります。
しかし、口車に乗せられて売却してみたものの、「相場よりかなり安い値段になっていた」という事や、購入時に「相場より高い値段で買ってしまった」という事はよく起こりえます。
そのようにならないためにも、幾つかの会社に査定や相談をするようにしましょう。
三為契約は売却は安く、購入は高くなりがち
三為業者の中でも、購入時には物凄い安い値段で買い叩き、売却の際には相場より高く売り抜ける会社が多いのも事実です。
一時期かぼちゃの馬車やレオパレスの事件などで、銀行の貸し渋りが多くなり、新築投資ブームは下火になりましたが、最近は投資先が中古ビル、一棟マンション、一棟アパートなどの中古物件に集中している事も確かです。
そのため、中古市場の相場が上昇傾向にあり、今後どのように価格推移をするか少し注視した方が良い気もします。
ただでさえ三為契約は相場より高く購入する可能性が高いのに、新築投資用物件への投資が過熱しプチバブルが崩壊したように、三為契約が多い中古物件への投資も少し過熱気味になっているので、購入の際は特に気を付けるようにしましょう。
三為契約のメリット
三為契約のメリットは、購入から2年以内は契約不適合責任を三為業者が負うので、契約内容の不備や、雨漏りやシロアリ、給排水の故障など、三為業者に責任追及が出来ます。
また、三為業者の多くは好立地で契約をしていることが多いというメリットもあります。
三為契約で失敗しない為に
三為契約では、三為業者に相場より安く売却することになり、相場より高く購入する可能性が高いので、注意が必要です。
売却、購入の相場をきちんと調べ、エンドユーザー向け広告をする
三為業者に売却する前、もしくは三為業者から不動産を購入する前に、相場をきちんと調べておけば安く売ったり、高く買ったりすることは防げます。
売却に関しては、不動産SNSウチカツで買取価格査定、売り出し価格の査定、予想成約価格の査定がどんな物件でもできます
まずは売却する際に、きちんとレインズに登録してもらっているか、図面を作成してもらっているか、ウチカツなどで物件掲載をしてエンドユーザー向けの広告を行っているか確認しましょう。
特に投資初心者の中には、なぜこんな物件を買ってしまったんだろうとプロがみて思うような物件を購入されている方もいるので気を付けましょう。
急かされたり、二重契約書の作成を勧められる
購入、売却の際には急かされるのはよくある話です。まず売却の際には、「早く決めないと予算の関係で購入できなくなる」と言われたり、購入の際には「他にも申し込みが入りそう」などと言われることが多いです。
また、二重契約書といって、実際の売買契約書とは別に銀行ローン用に売買契約書の作成を勧められることもあります。
例えば実際は1億円の売買契約であっても、1億2000万円位の売買契約書を銀行用に用意し、担保評価を高く付けて融資の額をより高くするための違法行為です。
この場合、二重契約書をつくるのは不動産仲介業者ですが、このような事を勧める不動産業者とは取引をしないようにしましょう。
不動産SNS”ウチカツ”で購入、売却の相談や査定を依頼する
売却先や購入する物件が三為業者であれば、本当に取引しても良いか気になりますよね。そんな時にお勧めしたいのが、不動産SNSウチカツです。
ウチカツでは、不動産の購入、売却に関する相談を匿名かつ無料で出来ます。
また、物件の種別毎の専門業者に、売り出し価格の査定、買取価格査定、予想成約価格の査定を無料でお願いすることが可能なので、実際に幾らで売れるのか比較することも可能です。
一般的な不動産一括査定サイトですと、一般の方に売却する場合の査定しか出来ませんが、ウチカツは不動産買取業者多数登録しているため、直接不動産を買い取ってもらう際にする買取価格査定が可能です。
不動産相談機能を利用すれば、匿名で物件種別や特徴毎に無料で購入や売却の相談ができて、一番ベストと思う回答の業者さんに直接不動産の相談をすることも可能です。
三為業者と取引して失敗しないためにも、ウチカツで相談や査定をしてみましょう!
著者プロフィール
株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋樹人
法政大学工学部建築学科卒 2020年より同社代表に就任、ニッチな不動産でお馴染みURUHOMEを立ち上げ後、日本全国から不動産の悩みが寄せられる。不動産業界における高すぎる広告費の問題から、利用者と不動産業者のマッチングが適切に行われていない事を問題ととらえ、業界初の不動産業者も利用者も無料で利用できる不動産SNSウチカツ(UCIKATU)を2022年にリリースした。