養豚場や養鶏場が近くにある不動産は
売買・賃貸のどちらの場合でも、取引が成立しにくいという問題があります。
その理由は、これらの施設が「嫌悪施設」と呼ばれる施設に分類され、近くにあるだけで住環境を悪化させる可能性があるというイメージを抱かれているためです。
しかし「養豚場や養鶏場が近くにある不動産は売れない」わけではありません。
専門家の正しい知識と経験を借りれば、希望の金額で契約を成立させることも可能です。
本記事ではこうした嫌悪施設が近くにある不動産を売却したい場合
購入・賃貸したい場合の注意点などについて解説します。
養豚場・養鶏場近くにある不動産の取引時の相談先と注意点
養豚場・養鶏場とは?
養豚場とは?
養豚とは、豚を飼育し食用となる豚、繁殖用の豚を生産する仕事で、「繁殖豚経営」「主トン経営」「飼育豚経営」の3つに分類されます。
飼育戸数は全国で3850戸(令和3年畜産統計)、鹿児島、宮崎、茨城の順になっていて、九州と関東で全体の半数以上を占めています。
養豚場は悪臭等の環境問題や後継者不足で、減少傾向にあります。
養鶏場とは?
養鶏場は、主に鶏の卵を採卵する採卵鶏と、食用鶏を育てるブロイラー(食用若鶏)に分かれますが、いずれも減少傾向にあります。
かつては放し飼いが行われることも多かったのですが、現在では鶏舎内で飼われることが多くなりました。
採卵鶏
飼育戸数は全国で1960戸(令和3年畜産統計)、愛知、鹿児島、千葉の順になっています。
ブロイラー
飼育戸数は全国で2160戸(令和3年畜産統計)、宮崎、鹿児島、岩手の順になっておりますが、九州が全体の半数を占めております。
養豚場・養鶏場は「嫌悪施設」に分類される
「嫌悪施設」とは、その施設があることで、近隣の住環境が損なわれる可能性が高い施設のことを指します。
養豚場や養鶏場の場合であれば、匂いがする・衛生面が心配といったことが挙げられます。
どのような条件に当てはまれば「嫌悪施設」であるかについては、明確な規定がありません。
しかし、買主や借主が契約後に嫌悪施設の存在を知り、「知っていたら契約しなかった」というトラブルに発展する可能性があることから、売主や貸主は、契約前にあらかじめ嫌悪施設の存在を伝えておく必要があります。
養豚場・養鶏場近くは匂いがある
養豚場や養鶏場近くの不動産の一番の問題は匂いです。
この問題の原因等として以下のようなものがあげられます。
そして、近隣に住む方からは次のような意見があげられます。
養豚場・養鶏場の悪臭の発生源、悪臭対策
このような原因で悪臭が発生しているため、養豚場・養鶏場で以下のような対策がされているかチェックしてみることも重要である。
養豚場・養鶏場の悪臭には悪臭防止法が適応される
悪臭防止法は、工場その他の事業場(養豚場・養鶏場など)における事業活動に伴って発生する悪臭について必要な規制を行い、悪臭防止対策を推進することにより、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的としています。
これによって、市町村長は、規制地域内で規制基準に適合せず、住民の生活環境が損なわれていると認める場合、改善勧告・改善命令を行うことができることとなっております。
悪臭問題が改善されない場合は、各自治体の相談窓口から相談してみることをお勧めします。
養豚場とか養鶏場の近くは悪臭防止法が適用されるんだね
悪臭が気になる時は自治体の窓口で相談できるよ
養豚場・養鶏場の近くの不動産を売買・賃貸するときの注意点
近年、住宅地の開発や養豚場や養鶏場の大規模化によって、匂いの問題も多く発生するようになってきました。
一般的に嫌悪施設の近くにある不動産は、売却後のリスクが多いため、不動産会社と相談のうえ、売却条件を慎重に検討する必要があります。
養豚場・養鶏場周辺の不動産の売買、賃貸でよくあるトラブル
「内見時の風向きだと匂いは気にならなかったが、売却後に実際に住んでみたら季節によってかなり匂いを感じた」などのトラブルが実はよくあります。
特に晴天時の夕方~夜、朝方の時間帯、曇天の時などは特に匂いが強くなる傾向があります。
また、丘陵地や山沿い、川沿い山沿いに養豚場や養鶏場がある場合も、臭気が希釈されにくい傾向にあります。
養豚場や養鶏場といった嫌悪施設が近くにある場合、施設が生活環境に及ぼす影響は、実際に住んでみないとわからない要素なので、風向きや時間帯によって匂いが変わることを事前に丁寧に説明をする必要があります。
養豚場・養鶏場周辺の不動産売買、賃貸は経験豊富な不動産屋に任せましょう
特に同じ地域で長年不動産業を営んでいる業者であれば、地域の生活環境や嫌悪施設からの影響を詳しく把握していることも少なくありません。
知識と経験の豊富な不動産会社に依頼することで、住み始めてから「やっぱり買わなければよかった」と後悔したり、入居者が決まったのちにクレームを入れられたりする可能性を減らせます。
養豚場・養鶏場の近くの不動産の売り出し方
養豚場・養鶏場近くの不動産の売り出し方としては、匂いを気にしない買主が見つかる可能性もあるので、最初は相場に近い価格で売りに出し、なかなか購入希望者が現れないということであれば、少しずつ条件を緩和していくのがおすすめです。
また、最初の売り出し価格については、不動産会社が査定をして判断します。
不動産会社に査定を依頼する際には費用は発生しないため、物件周辺の地域に精通した不動産会社にいくつか依頼して、スムーズに売却してもらえそうな業者を探しましょう。
養豚場や養鶏場の近くの不動産は、地域の会社に任せた方が良さそうだね
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著者プロフィール
株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋樹人
法政大学工学部建築学科卒 2020年より同社代表に就任、ニッチな不動産でお馴染みURUHOMEを立ち上げ後、日本全国から不動産の悩みが寄せられる。不動産業界における高すぎる広告費の問題から、利用者と不動産業者のマッチングが適切に行われていない事を問題ととらえ、業界初の不動産業者も利用者も無料で利用できる不動産SNSウチカツ(UCIKATU)を2022年にリリースした。