傾斜地・がけ地は売れにくい?

傾斜地・がけ地
傾斜地・がけ地

「傾斜地・がけ地を所有しているけど売れるかな?」
「傾斜地に建っているお家を売りたい」
訳あり不動産を専門に扱う私達には、全国からこんなお悩みが多く寄せられます。

売却で出来るだけ高く売るには知識も必要で
出来る限り高く売るためのコツをアドバイスさせていただいております。

そんな傾斜地・がけ地などの訳あり不動産を専門に扱う
現役不動産屋社長の私が、傾斜地・がけ地の売買のコツをご説明いたします。

傾斜地・がけ地の売買の相談はウチカツがおススメ

傾斜地・がけ地の売却には専門の不動産業者に相談するのが一番ですが、一般の方がお住まいの近くの専門の不動産業者を探すことは困難です。

そのため、一般の方がお近くの傾斜地・がけ地などの不動産相談をしたり、専門の買取業者に直接査定が出来るよう、弊社で「不動産SNSウチカツ」というサイトを創りました。

匿名での相談の為、不動産営業マンからのしつこい営業電話もありません。
お気軽にウチカツ不動産相談をご利用ください。

著者プロフィール 


ドリームプランニング 高橋

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋樹人

法政大学工学部建築学科卒 2020年より同社代表に就任、ニッチな不動産でお馴染みURUHOMEを立ち上げ後、日本全国から不動産の悩みが寄せられる。不動産業界における高すぎる広告費の問題から、利用者と不動産業者のマッチングが適切に行われていない事を問題ととらえ、業界初の不動産業者も利用者も無料で利用できる不動産SNSウチカツ(UCIKATU)を2022年にリリースした。

崖上、崖下の不動産を高く売るには

コンテンツ

傾斜地、がけ地とは何か?

傾斜地には明確な定義がありませんが、文字通り傾斜している土地を指します。
また、がけ地とは一般的に「2mもしくは3mを超える傾斜度が30度を超える急傾斜地」を指します。

傾斜地、崖地やその近くで建物を建てる際は、宅地の大規模な造成が必要になったり、建築物の構造などに制限が出るため、傾斜地、がけ地の不動産の売買は専門の不動産業者にお願いする事をお勧めいたします。

ウチカツは傾斜地・がけ地の無料相談可能

不動産SNSウチカツでは、傾斜地、崖地に詳しい不動産業者に査定や相談が無料で出来るため、傾斜地の不動産の売却を検討している方、お悩みをお持ちの方におすすめです。

傾斜地、崖地での建築の際は、法律、条令で建築が規制される。

建築物ががけ崩れ等の被害を受ける可能性がある場合、「擁壁の設置等安全上適切な措置をしなければならない」(建築基準法第19条)とされております。

では、どのような規制がされるかというと、「地方公共団体は、建築物の安全、防火等の目的を充分に達することが出来ない場合、条例で、建築物の敷地、構造等に関して必要な制限を附加することができる」(建築基準法第40条)としております。

つまり、「建築基準法だけだと何をすれば良いか分からないので、地方公共団体の条例でがけ地の近くで建物を建てるときの基準が定められている」という事です。

これによって通称「がけ条例」というものが地方公共団体ごとに定められています。

それ以外にも「土砂災害防止法」などでも、傾斜地などで建築する際の基準があります。

このように傾斜地・がけ地付近の土地を売買する際には、建物を建てるための基準が厳しくなり、工事費の高い擁壁を築造しなくてはいけなくなります。

そのため、傾斜地・がけ地付近での土地売買の価格は安くなることがあります。

ウチカツオ

自治体ごとに擁壁の基準を定めているってことね。

ビル君

具体的にどんな擁壁にしなきゃいけないかは、地方自治体で異なるってことだね。

傾斜地、がけ地に建物を建築する場合、通称がけ条例により建築が規制される。

建築基準法40条では、地方公共団体が条例で安全上必要な制限を設ける事が出来ることとなっております。
このため、各地方公共団体では、通称がけ条例といって、がけの近くにある建築物の安全性を確保するための条例が定められている事が多いです。
がけ条例では、がけの高さやがけからの距離によって建築制限がされます。

この条例は各自治体によって異なり、例えばがけの多い横浜市の場合は、以下のように、崖の下からがけの高さの2倍を超える範囲内では建築の制限を受けます。

第3条 高さ3メートルを超える崖(一体性を有する1個の傾斜地で、その主要部分の(こう)配が30度を超えるものをいう。以下この条において同じ。)の下端からの水平距離が、崖の高さの2倍以内の位置に建築物を建築し、又は建築物の敷地を造成する場合においては、崖の形状若しくは土質又は建築物の規模、構造、配置若しくは用途に応じて、安全上支障がない位置に、規則で定める規模及び構造を有する擁壁又は防土堤を設けなければならない。ただし、次のいずれかに該当する場合においては、当該部分については、この限りでない

※横浜市建築基準条例及び同解説より

土砂災害特別警戒区域内の傾斜地・がけ地では建築物に構造規制がされる。

傾斜地・がけ地の一部には、土砂災害特別警戒区域が定められていることもあり、区域内で建物を建築する際は、万一土砂崩れが起こった場合に備えて、上のがけ条例とは別に、建築物の構造が安全なものとなるように、建築確認の制度及び構造規制が適用される場合があります。

この時、建築物の構造が土砂災害を防止する基準を満たすかについて、確認の申請書を提出し、建築主事等の確認を受けることが必要になります。

具体的には、万一土砂災害が起こった場合、土砂や土石流の力に耐えられるようにするため、土砂災害の衝撃を受ける高さ以下の部分の建物を鉄筋コンクリートにしなければなりません。

傾斜地・がけ地で安全性の確認が取れている擁壁の敷地は、売買価格にあまり影響が無い

傾斜地・がけ地で建物を建築する際は、基本的に擁壁の工事が必要になります。また、擁壁については安全性が確認できている擁壁と、そうでない擁壁があります。

安全性の確認が取れている擁壁が既に築造されている敷地は、売買価格にそこまで影響はありません。

ちなみに、下記の許可を経て築造された擁壁は、検査済証が発行されておりますので、確認しましょう。

検査済証が取得できていない場合、安全性が確認が取れていないので、注意しましょう。

開発許可により築造された擁壁-安全性が確認できた擁壁

1000㎡以上(首都圏・中京圏・近畿圏の既成市街地は500㎡以上)の土地を造成したり、土地を分譲して宅地とする場合、都市計画法の開発許可というものが必要になります。
開発許可を経て築造された擁壁は安全性を確認できている擁壁となります。

開発分譲地
開発分譲地

宅地造成工事規制区域内で許可を経て築造された擁壁―安全性が確認できた擁壁

宅地造成工事規制区域内で次のいずれかの宅地造成工事をする場合、宅地造成等規制法の許可が必要です。

  • 1.切土で、高さが2mを超える崖(30度以上の斜面)を生ずる工事
  • 2.盛土で、高さが1mを超える崖を生ずる工事
  • 3.切土と盛土を同時に行う時、盛土は1m以下でも切土と合わせて高さが2mを超える崖を生ずる工事
  • 4.切土、盛土で生じる崖の高さに関係なく、宅地造成面積が500㎡を超える工事

なお、高さ5mを超える擁壁の設置や切土、盛土をする土地面積が1500㎡を超える場合、次のいずれかに該当するものが設計する必要があります。

  • 1.大学において、正規の土木又は建築に関する課程を修めて卒業した後、土木又は建築の技術に関して2年以上の実務の経験を有する者
  • 2.短期大学において、正規の土木又は建築に関する修業年限3年の課程(夜間において授業を行うものを除く。)を修めて卒業した後、土木又は建築の技術に関して3年以上の実務の経験を有する者
  • 3.短期大学又は高等専門学校において、正規の土木又は建築に関する課程を修めて卒業した後、土木又は建築に関する課程を修めて卒業した後、土木又は高等学校又は中等教育学校において、正規の土木又は建築に関する課程を修めて卒業した後、土木又は建築の技術に関して7年以上の実務の経験を有する者は建築の技術に関して4年以上の実務の経験を有する者
  • 4.高等学校又は中等教育学校において、正規の土木又は建築に関する課程を修めて卒業した後、土木又は建築の技術に関して7年以上の実務の経験を有する者
  • 5.大学院に1年以上在学して土木又は建築に関する事項を専攻した後、土木又は建築の技術に関して1年以上の実務の経験を有する者
  • 6.技術士法による第二次試験のうち技術部門を建設部門とするものに合格した者
  • 7.建築士法による一級建築士の資格を有する者
  • 8.土木又は建築の技術に関して10年以上の実務の経験を有する者で、都市計画法施行規則第19条第1号トに規定する講習(※)を修了した者

盛土等による災害から国民の生命・身体を守る観点から、盛土等を行う土地の用途やその目的にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する「宅地造成等規制法の一部を改正する法律案」(盛土規制法案)が、令和4年3月1日に、閣議決定されました。

これにより、令和4年5月27日から1年を超えない日から盛土規制法が施工され、単なる土捨て行為や、一時的な堆積でも規制対象になります。また、土砂流出しうる森林や平野部など規制範囲が拡大されます。

建築基準法で工作物の許可を取得している擁壁―安全性が確認できた擁壁

高さ2mを超える擁壁は準用工作物に該当し(建築基準法施工令138条)、準用工作物に該当する擁壁は建築確認申請による許可を得る必要があります。(建築基準法第88条)
つまり、擁壁の高さが2mを超えなければ、建築基準法の建築確認申請は基本的に不要です。(擁壁の高さ<がけの高さでがけの高さが2mを超えると建築確認申請が必要という自治体もあります。)

安全性の確認が取れている擁壁のまとめ

安全性の確認が取れている擁壁は以下の通りです。

法令許可
都市計画法第29条、第35条開発許可を受けて築造された擁壁
宅地造成等規制法第8条、第12条宅地造成工事等規制法の許可を受けて築造された擁壁
建築基準法88条、同法施工令138条建築基準法の許可を受けて築造された工作物
チープ君

うちの擁壁は大丈夫かな?

チープ君

開発許可、宅地造成等規制法、建築基準法の工作物の許可を取ってないと安全とは言えないよね。

傾斜地、がけ地で「安全性の確認が取れていない擁壁」の敷地は売買価格が安くなる。

次に安全性の確認が取れていない擁壁についてご説明します。これらの擁壁のある敷地は安くなる傾向にあります。

ちなみに、平成12年に擁壁の構造計算の基準が厳格化されました。それ以前は設計士の判断で擁壁の安全性の基準が異なるため、平成12年以前に築造された擁壁は、現在の基準のものと異なり、安全性の確認が取れていない可能性が高いです。

そのような擁壁が築造されている敷地は、新しく擁壁を造り替えるための費用を引いた金額位まで、土地の価格が安くなる傾向にありますので、注意しましょう。

二段擁壁―安全性の確認が取れていない擁壁

よくあるのは大谷石の擁壁の上に、ブロック積みの擁壁など、異なったもので土留めがされている擁壁です。これらは現行の安全性の基準を満たしておりません

2段擁壁
2段擁壁

ブロック積擁壁

ブロックの擁壁も安全性の確認がとれていない擁壁になります。

ブロック擁壁
ブロック擁壁

大谷石積み擁壁―安全性の確認が取れていない擁壁

大谷を積んで出来た擁壁は1970年代位まで多く築造されました。これらも現行の安全性の基準を満たしておりません。

大谷石
大谷石

玉石擁壁

玉石と練コンクリートで積み上げた擁壁です。はらみなども生じているものが多く、安全性の基準を満たしておりません。

玉石擁壁

許可を経て築造された擁壁でも、安心ができない場合あります。

検査済証があるからといって、必ずしも安全とは言い切れません。
検査済み証は検査を受けた時点での安全性を証明していますが、検査後に法律が改正されると、改正後の基準を満たしていない可能性はあります。

また、コンクリートも風化により強度が維持できなくなる可能性もあります。

チープ君

擁壁がつくられたのが1974年で、僕は1975年に建てられてたからだめなのか

ビル君

平成12年以前の擁壁は今の基準と違うから、建て替えの時は擁壁をやり替えないとダメな可能性が極めて高いね

安全性が確認できていない擁壁のある敷地でも、建て替え可能なこともある。

安全性が確認できていない擁壁であっても、擁壁に建物の荷重がかからないようであれば、建て替え自体は可能になります。
具体的には、安息角といって、地盤が擁壁に頼ることなく自立し、崩れない角度まで建物の下に適切に地盤改良杭などが施工されていれば、建築自体は可能です。

傾斜地・がけ地
安全性の確認が取れていない擁壁でも、安息角まで杭を打ち込めば建て替え出来る事がある。

ちなみに、土質によって、安息角の角度は異なります。
また、自治体によっても安息角は異なります。横浜市のがけ条例で定める土質毎の安息角は以下の通りです。

土質安息角
軟岩(風化の激しいものを除く)70度
風化の激しい岩50度
砂利、真砂土、関東ローム、硬質粘土45度
軟質関東ロームその他これに類するもの35度
横浜市の土質と安息角

隣の敷地の擁壁が基準を満たしていない場合も、安全性が確保できているとは言えない。

自己所有地だけでなく、隣の敷地の擁壁が基準を満たしてない場合も安全性の確保ができているとは言えません。

例えば、崖下の土地を所有していて、擁壁と崖上の土地を隣の土地所有者が持っている場合、擁壁の安全性が確認できていなければ、基礎の立ち上げをしたり、鉄筋コンクリートの擁壁(防護壁)などをがけ側に作る必要があります。

傾斜地・がけ地 3
防護壁などを建てることで崖下でも建物が建てられることがある。

例えば、横浜市の場合はこの立ち上げ基礎や、鉄筋コンクリート擁壁(防護壁)の高さは、隣の擁壁が倒れてきても、建物が土砂災害を受けない角度(上記記載の安息角)まで施工すれば、崖下の建物の安全性は確保できることになります。

傾斜地、がけ地や、安全性が確認できない擁壁は管理する上でリスクがあります。

傾斜地・がけ地や、安全性が確認できない擁壁は、建物の維持に懸念があるだけでなく、第三者を事故に巻き込んでしまう事も考えられます。安全性が確認できていない擁壁であっても、上記のような安息角まで杭を打ち込んだりする事で建物を建てられることはありますが、万一擁壁が崩れるようなことがあれば管理者責任は逃れられません。

このため、傾斜地・がけ地や安全性の確認が取れていない擁壁に近接する土地は売買しにくい傾向があります。

傾斜地・がけ地や、擁壁が不動産を上手く売却する方法

擁壁について詳しく知ること

傾斜地、がけ地や擁壁のある不動産を売却するときは、その土地にどんな法律がかかってくるのか、擁壁がある場合は、検査済証があるかどうか、劣化があるかどうかを確認しましょう。

  • 傾斜地・がけ地の法律や条例などを調べるには、擁壁の売買が得意な不動産屋に調査してもらったり、物件所在地の役所で調査する方法があります。
  • 擁壁の状態について検査してもらうのは、専門家にインスペクションをお願いして、擁壁の状態を調べてもらいます。
ウチカツは匿名でがけ地の相談可能

この場合、不動産SNSウチカツですと、傾斜地・がけ地を専門とする不動産業者に一括して匿名で相談できるため、調査やインスペクションの会社を知るには最適です。

傾斜地・がけ地を得意とする不動産業者に買い取ってもらう。

買取専門の不動産会社に買い取ってもらう方法もあります。不動産SNSウチカツでは、業界初のがけ地・傾斜地専門の買取専門の不動産会社に一括買取査定をしてもらうことが可能です。

傾斜地、がけ地の不動産の売買は専門知識も必要なため、売買が難しく、擁壁があったとしても安全性の確認が取れているかどうかで不動産の価格が違ってきます。

ウチカツは買取査定も売り出し価格の査定も両方可能

ウチカツでは、どんな不動産であっても「買取査定」「売出価格査定」などの査定や、「ウチカツ不動産相談」が無料で利用できますので、色々と比較検討をしていただき、より良い売却方法をお決めください。

×

無料で不動産査定・不動産相談するなら『ウチカツ[UCIKATU]』