ごみ焼却場・産業廃棄物処理場近くの不動産は買わない方が良い?

ごみ処理場近くの不動産は買わない方が良い?
ごみ処理場近くの不動産は買わない方が良い?

ごみ焼却場や産業廃棄物処理場の近くの不動産は
以前までは「煙やにおいがひどくて健康に悪いから買わない方がいい」
と言われていました。
こうしたイメージから、これらの施設の近くにある不動産は、比較的安価に売り出されているケースが多くあります。
しかし、いくら価格が安いといっても、においや騒音が気になったり、健康被害が起きたりしないかといった不安を抱く人も少なくないでしょう。

本記事では、近年のごみ焼却場や産業廃棄物処理場の実情をふまえて、近くの不動産の購入を検討する際に注意しておきたいポイントを現役不動産屋社長の私が解説します。

著者プロフィール 


ドリームプランニング 高橋

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋樹人

法政大学工学部建築学科卒 2020年より同社代表に就任、ニッチな不動産でお馴染みURUHOMEを立ち上げ後、日本全国から不動産の悩みが寄せられる。不動産業界における高すぎる広告費の問題から、利用者と不動産業者のマッチングが適切に行われていない事を問題ととらえ、業界初の不動産業者も利用者も無料で利用できる不動産SNSウチカツ(UCIKATU)を2022年にリリースした。

ごみ焼却場・産業廃棄物処理場近くの不動産

ごみ処理場や産業廃棄物処理場は「嫌悪施設」に分類される

「嫌悪施設」とは、一般的に多くの人が「近くに住みたくない」と考える施設のことを指し、具体的には工場(悪臭やばい煙)・ガソリンスタンド(危険を感じる)・墓地(心理的忌避)などがあります。

ごみ処理場・産業廃棄物処理場は避けられる傾向にある

ごみ処理場・産業廃棄物処理場も、ごみや産業廃棄物を処理・処分する過程で、悪臭やばい煙(すすを伴った煙)、大気汚染物質などが発生します。
これらは住環境の景観が悪くなるだけでなく、ぜんそくやアレルギーをはじめとした健康状態悪化の原因となることから、影響を受ける可能性のある近隣の不動産は避けられる傾向にあるのです。

こうした理由から、ごみ焼却場や産業廃棄物処理場が近くにある不動産は、同じ条件の不動産と比較して安価に売却されることがほとんどです。

嫌悪施設とは

「嫌悪施設」と言われるものには、騒音・振動、煤煙・臭気、危険を感じさせるものや、心理的に忌避されるものなどがありますが、明確な定義はありません。

基本的には嫌悪施設の全部が重要事項説明の説明対処になるわけではありませんが、ごみ処理場や産業廃棄物処理場は、健康に被害を及ぼす恐れもあるとも考えられるため、説明が必要になると考えられています。

嫌悪施設の主なものとしては、以下のような施設があげられます。

現 象施 設
騒音や振動の発生高速道路等の主要道路、飛行場、鉄道、地下軌道、航空基地、大型車両出入りの物流施設 等
煤煙や臭気(悪臭)の発生工場、下水道処理場、ごみ焼却場、養豚・養鶏場、火葬場 等
危険を感じさせるガスタンク、ガソリンスタンド、高圧線鉄塔、危険物取扱工場、危険物貯蔵施設、暴力団組事務所 等
心理的に忌避される墓地、刑務所、風俗店、葬儀場 等
公益社団法人不動産流通推進センター

ごみ焼却場とは

一般的には、家庭から出されるゴミの処理を行う施設であり「ゴミ処理場」「ごみ焼却施設」「クリーンセンター」「清掃センター」「ごみ処理施設」「清掃工場」など、自治体によってそれぞれの呼称で呼ばれています。

ごみ焼却場と言っても、一般的には家庭から出される不燃ごみや粗大ごみ、プラスチックの容器の仕分けなども行っている事が多く、次のような施設に大別される。

可燃ごみ施設

収集車で集められたごみを焼却する施設。
ごみ焼却場と言われて、ぱっと思い浮かぶのがこちらのごみを燃やす施設ではないでしょうか?
ごみを燃やした時に発生する排ガス中に含まれる煤塵や硫黄酸化物、塩化水素、ダイオキシン類等の有害物質を除去されます。
燃やした後に出た飛灰処理物には、有害な重金属類が含有されており、薬剤やセメントで固めて処理し、最終処分場の搬送されます。

リサイクルセンター

不燃ごみ、粗大ごみなどは危険物などを人の手で取り除き、再利用出来る鉄類・アルミ類などをを除き、最終処分場に搬送されます。
プラスチックごみなども異物が取り除かれ、リサイクルできるものはリサイクル事業者によってリサイクルされます。

最終処分場

ごみ処理施設で処分できなかったゴミは、最終処分場に持っていきます。
ごみ処理場、ごみ埋め立て地、埋め立て処理場などとも呼ばれ、次の項「産業廃棄物処理場」でも紹介するような「遮断型処分場」「安定型処分場」「管理型処分場」の三種類に大別されます。

2021年で日本には1775か所の最終処分場があり、大半は山間部にあります。

ウチカツオ

僕らの想像するごみ焼却場は、街はずれにあるプールを併設した施設だよね

ビル君

ごみ焼却施設は2019年時点で1067施設で、減少傾向にあるね。それでもOECDのデータによると、世界の焼却炉の半分は日本にあるって言われているんだ

産業廃棄物処理場とは

廃棄物は家庭ゴミなどの一般のごみと解体などの現場から出る産業廃棄物に分けられます。
一般的に、工事現場や解体現場から出るものは産業廃棄物として処理され、リユース可能なものをふるい分けなどを行い、中間処理などをして最終的に埋め立て処分などを行います。

つまり、産業廃棄物処理場は中間処理場と最終処分場があり、最終処分場は処分するものによって処分方法が異なるため、3種類あります。

産業廃棄物処理場のある場所

 廃棄物処分場は、住民合意が必要であり、特に最終処分場のほとんどは山間部や臨海部において建設されることが多いです。

産業廃棄物処理場のある場所のタイプ

廃棄物には中間処理上と、安定型、管理型、しゃ断型の3種類の最終処分場があります。

中間処理場

中間処理場では、産業廃棄物をリユースできるものとそうでないものに分別し、粉砕・切断・混練・脱水・焼却などの前処理が行われます。

焼却して廃棄物の量を減らしたり、有害物質を無害化することで、産業廃棄物の約50%は再利用可能な資源に生まれ変わります。

安定型最終処分場

 安定型は、ゴムくず、金属くず、ガラスくず及び陶磁器くず等、そのまま埋立処分しても環境保全上支障のないものを埋立処分するものです。つまり有害物質を含まず、ガスや汚濁水が発生しないことから「環境汚染の恐れがないものの処分場」がこの安定型と呼ばれるものです。

遮断型最終処分場

遮断型は有害な燃え殻、ばいじん、鉱さい、汚泥などの特定有害産業廃棄物を埋立処分するもので、処分場内部への雨水流入防止を目的として屋根による覆いや雨水排除設備が設置されていることや鉄筋コンクリートなど水密性のある頑丈な作りであることが特徴です。
 すでに安定するか、埋めたて後すぐ安定する比較的害の少ない廃棄物を処理します。

管理型最終処分場

管理型は、遮断型の最終処分場でしか処分できない廃棄物以外の廃棄物の埋め立てを行っており、ふん尿、死体による腐食や分解、金属の溶出などによる汚濁物質を含む浸出液やガスが発生します。埋め立て後、維持管理を要するものが管理型処分場です。

ウチカツオ

最終処分場も3種類あるんだね

ごみ焼却場・産業廃棄物処理場の問題点

ごみ焼却場・産業廃棄物処理場には、以下の問題点が存在する。

ダイオキシンの発生

ゴミを燃やすと難分解性で有毒な環境汚染物質である「ダイオキシン」ができることはよく知られています。

例えば埼玉県内では、1年間で排出されたダイオキシン類の量(TEQ)は,平成9年度では338g-TEQでしたが、平成22年度は平成9年度比ー97%減で9.0g-TEQとなりました。

廃棄物焼却炉は,焼却物を完全燃焼させるために800℃以上で焼却することが義務づけられていて、この位の高温で焼却を行えば,ダイオキシン類でも分解出来ます。
また、普通に冷却するとダイオキシンが発生してしまうのですが、急速冷凍することでダイオキシンの発生を抑制できます。

ダイオキシンはこのような様々な施策によって大気中に飛散しないよう対策が取られているうえ、最終処分場に運ばれる焼却灰なども管理されております。

とはいえ、最近でもごみ焼却場で基準値を超えるダイオキシンが検出されることはありますので、心配であれば購入は控えた方が良いかと思います。

悪臭・騒音・振動の発生

悪臭・騒音・振動については、ごみ焼却場よりも、中間処理施設の方が感じることがあるでしょう。
ただ、廃棄物の処理に伴う悪臭・騒音および振動については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施工令」により、廃棄物処理施設の構造及び維持管理にかかる技術上の基準があるので、産廃の施設周辺でもある程度安心して暮らせると言えるでしょう。

ごみ処理場・産業廃棄物処理場近くの不動産売買ならウチカツ

以前は生活環境や健康への影響という側面から、ごみ焼却場や産業廃棄物処理場の近くの不動産は購入すべきではないと言われていました。
環境基準の厳格化や最新設備の導入により、以前よりも近隣住民への悪影響は少なくなってきているため、これらの施設の近くの不動産の購入を検討しやすくなっていると言えます。

ごみ処理場・産業廃棄物処理場近くの不動産売買はウチカツにお任せ

不動産会社の中には、嫌悪施設が近くにある不動産を得意とする会社も存在します。ウチカツでは、ごみ処理場や産業廃棄物処理場の近くの不動産の売買や賃貸を得意とする不動産業者に相談に乗ってもらうことも可能です。
また、このような嫌悪施設の近くの不動産の買取査定を行っている不動産業者も多数ありますので、売却をお考えの際は一度査定してみると良いと思います。

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