不動産の取引をするとき43条但し書きという言葉をよく耳にしませんか?
また、43条第2項に基づく認定・許可という言葉を聞きませんか?
「43条但し書きとか、43条2項の空地とかって、道路なの?」
「そもそも、建築基準法の道路じゃないから建築できないの?」
と気になりませんか?
結論から言うと「43条但し書き空き地」「43条2項の認定を受けた通路」
などに接していれば、再建築できる可能性は高いです。
そこで、43条但し書き(43条2項)に詳しい現役不動産屋社長である私が、
「43条但し書き」「43条2項の空き地・許可」とは何か詳しく解説いたします。
43条但し書きについて、再建築や費用についても解説
43条但し書き(43条第2項)とは
建築基準法43条では「建築物の敷地は(建築基準法上の)道路に2m以上接していなければならない」(接道義務と言います)と定めています。
「43条但し書き」や「43条2項の認定・許可」と言われるものは、この建築基準法43条の接道義務の特例として、建築基準法の道路に2m接していなくても建て替えが出来る救済措置の事を言います。
「43条の2項1号の認定」「43条2項2号の許可」と呼ばれるものは、元々43条但し書きと呼ばれていたものが、平成30年9月25日の法改正によって新設されたものです。
43条ただし書き空地・通路について
以前は建築基準法の43条の条文に「ただし、特定行政庁が交通上、安全上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない」と続いておりました。
つまり、建築基準法43条の接道義務を守らないと一般的には建物は建てられないけど、”ただし”建築審査会の同意を得れば建て替え出来るという事で「43条但し書き」と呼ばれていました。
※特定行政庁とはー建築主事(建築確認を審査する公務員)を置く市町村や特別区では、それぞれの長(市長、区長など)、それ以外では都道府県知事をいう。
43条但し書き・43条2項による建て替えは救済措置
43条ただし書きや、43条2項の許可と言われるものは
などに対する救済措置として、「本来であれば建て替えが出来ない敷地でも建て替えが出来る」ようにしたものです。
具体的には、「接している道路が建築基準法の道路ではないもの」でも、「43条の道路状の空地」として認定や許可を受けると、建て替え出来るようになります。
もっと簡単に言うと、基準法の道路ではないけど、基準法の道路に近いものに接しているから建て替え出来るようにしようというのが「43条但し書き」や「43条2項の許可・認定」と言われるものです。
43条但し書きとか、43条2項の認定や許可って、再建築できない物件の救済措置なんだね。
元々「43条の但し書き」って言われていたものが、「43条2項1号の認定」「43条2項2号の許可」に変わったんだよ。
43条2項について詳しく
43条2項の許可や認定と言われるものは、43条ただし書きに代わり出来たもので、平成30年に建築基準法が変わって出来たものです。
元々43条但し書きでは、建築審査会の同意を得て特定行政庁の許可を得ないと建て替えが出来ませんでした。
全て建築審査会の同意を得るのも大変なので、43条2項1号による認定という制度が創立され、基準に当てはまるものは建築審査会の同意を得ないでも、特定行政庁が認定する事になりました。
43条2項1号の認定とは
建築基準法43条2項1号は、「建築基準法の道路ではない4m以上の通路に接している敷地」「管理者の占用許可などが取れた水路」「地方公共団体などが管理する認定外道路」などについては、建築審査会の同意を得ずとも特定行政庁が認定をして建て替えが出来るという制度です。
従来の43条但し書きという制度の場合、事あるごとに建築審査会の同意を経なければなりません。
それだと手続きが煩雑な為、建築審査会の同意を経ずとも特定行政庁が認定すればOKという形で、再建築の為の手続きを簡素化するために平成30年9月25日の法改正によって新設された制度です。
自治体によって43条2項1号の認定の基準が少し異なるので注意しましょう。
「その敷地が幅員四メートル以上の道に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの(は建築基準法の道路に2m接していなくても良い)(建築基準法43条2項1号)」
建築基準法 | e-Gov法令検索
43条2項2号の許可
元々の43条ただし書きの流れを引きついたもので、建築審査会の同意を得れば、特定行政庁が許可したものについて、建築基準法の道路に2m以上接道していなくても建て替えが出来るという救済措置です。
43条2項2号については、「一括同意基準」や「包括同意基準」と呼ばれるものがあり、”一定の基準に適合するものは建築審査会の同意を得ることが出来ます”という基準を自治体で設けています。
「その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの(は建築基準法の道路に2m接していなくても良い)(43条2項2号)」
建築基準法 | e-Gov法令検索
例えば東京都では「管理者の占有許可が得られた水路に2m以上接する敷地」「地方公共団体が管理し、管理証明が得られた道」などは基本的に一括で建築審査会の許可がされます。
43条2項1号の認定は建築審査会の同意が無くても建て替え出来るんだね
そうだね。だから43条2項2号の許可より基準が厳しいんだ。
43条2項の自治体による基準
「43条2項1号の認定」「2項2号の許可」と呼ばれるものは、自治体によって異なります。
43条2項1号の認定に関しては、建築基準法の道路と比較的近い道路に2m以上接している場合に認定されるもので、43条2項2号の許可については、自治体によってかなり異なります。
実際には横浜市のように、幅員1.5mでも43条2項2号の許可でも建て替えられるところもあれば、東京のように基本的に幅員2m以下が建て替えを求めていないところもあり、自治体によってまちまちです。
具体例を見ていきましょう。
自治体ごとの建築基準法43条2項1号の認定
43条2項1号の認定については、基本的に200㎡以下の住宅で、農道やこれに類する通路等に接しており、その通路などを将来にわたって通行するための許可が得れるものが43条2項1号の認定により、建て替えが出来る事が多いようです。
将来にわたって通行するための許可とは、その通路に将来的に建物を建ててしまったり、何も管理しない状態だと将来的に道として利用出来ないという事がありうるので、そうならないように道路管理者がきちんと道路としての管理をするという誓約書が必要になります。
敷地が幅員4メートル以上の道(農道や道路位置指定の基準を満たす通路等)に2メートル以上接する建築物のうち、延べ面積が200平方メートル以内の一戸建ての住宅で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの | 埼玉県 |
敷地が、幅員4m以上の「農道その他これに類する公共の用に供する道」又は「令144条の4第1項に掲げる基準に適合する道」に2m以上接している延べ面積200平方メートル以内の一戸建ての住宅 | 熊本県 |
その敷地が公共の用に供する幅員4m以上の次のいずれかに掲げる道に2m以上接するものであることとする。(土地改良事業、農道整備事業等による農道)( 河川又は海岸の管理用の道) (港湾施設である道)( 国又は地方公共団体の管理する道) 延べ面積が200㎡以下で、一戸建ての住宅(専用住宅(2世帯住宅を含む。))であること。 | 大阪府 |
自治体ごとの43条2項2号の一括同意基準、包括同意基準による許可
43条2項2号の許可については、基本的に全て建築審査会で同意するか一つ一つ決めていくのも大変な為、自治体によって建築審査会の同意を得るための基準があります。
この建築審査会の同意を得られるための一定の基準を「包括同意基準」「一括同意基準」と言います。
この「包括同意基準」や「一括同意基準」の内容に適合すれば、基本的に建築審査会の同意を得る事が可能で、建築の許可も出ます。
また、この包括同意基準や一括同意基準と言われるものは、地方公共団体によって大きく異なります。
基準1. 敷地と道路の間に、“管理者の占用許可、承諾又は同意が得られた水路”“地方公共団体が管理する認定外道路”等が存在する場合で、避難及び通行上支障がない道路に、有効に接続する幅員2m以上の通路が確保されている敷地 基準2. 道路に有効に接続する、地方公共団体から管理証明が得られた道などの幅員4m以上の公有地等に、2m以上接する敷地 基準3-1. 道路に有効に接続する幅員2.7m以上4m未満の道が確保され、その道に2m以上接する敷地 基準4. 道路に有効に接続する幅員4m以上の道が確保され、その道に2m以上接する敷地で、次の各号に該当するもの。 | 東京都 |
包括同意基準1. 市計画の決定により位置が確定し、又は国、県、市その他これらに準ずる公的機関が管 理している公園、広場、その他これらに類する空地(以下「広場等」という。)に2m以上 接する敷地に建築する建築物であること。 包括同意基準2. 公的機関が管理する道など幅員4m以上の道に2m以上接する敷地に建築する建 築物であること。 包括同意基準3-3. 平成11年5月1日(以下「基準時」という。)前において確認済証の交付がされた建築物の 敷地、又は基準時において現に存する建築物の敷地に2m以上接する道路を築造することが極めて困難な場合、基準法の道路に幅員1.8m以上の空地が接している事 包括同意基準3-3の2 空地の幅員が 1.5m以上で、かつ、空地の延長が 20m以下で、建築基準法道路に空地が接している事。 | 横浜市 |
自治体で包括同意基準って全然違うんだね。
そうだね。全く同じ条件でも建て替え出来る自治体と、建て替え出来ないところがあるんだ。
自治体ごとの43条2項2号の個別提案基準など
43条2項2号の包括(一括)同意基準つまり、建築審査会が一括して審査を同意する基準に適合しない場合、建築審査会は個別に再建築可能か審査をすることになります。
建築審査会の個別の審査については、東京23区のようにそもそも取り扱いが難しいという自治体も少なくありません。
また、横浜のように一部の自治体では、上記の包括同意基準に適合しない場合でも、個別に建築審査会の同意を得る事が可能か、最低限の基準を設けております。
これを「個別提案基準」と言います。
個別提案基準3-4.空地の幅員が 0.9m以上1.8m未満で、かつ、空地(終端整備敷を除く。)の延長が 20m以下の敷地 個別提案基準3-4の2.空地の幅員が 0.9m以上かつ、空地(終端整備敷を除く。)の延長が 15m以下の敷地 個別提案基準3-5.空地の幅員が 0.9m以上かつ、中心後退1.35m以上2m未満の敷地 | 横浜市 |
基準A 道路に有効に接続する幅員 1.8m以上 2.7m未満の道(通路)が確保され、通路所有者全員から承諾を得られた通路に2m以上接する敷地 道路に有効に接続する幅員 1.8m以上の道が確保され、道の中心線から水平距離2m以上の線 を道基準B 道路に有効に接続する幅員 1.8m以上の道が確保され、道の中心線から水平距離2m以上の線を道の境界線とし、道の部分に関して所有権、地上権及び借地権を有する者全員の承諾が得られ ないことについて区長がやむを得ないと認めるもの(通路協定による道)に2m以上接する敷地 | 葛飾区 |
① 道路に至る専用通路の幅が1.5m以上あり、その延長距離が20m以内で専用通路の幅と公共性 のある空地(里道、水路敷等)の幅と併せて2m以上あり、当該管理者と通行利用者等の協議が整 っているもの。 ② 道路に至る専用通路の延長距離が20m以内で、専用通路の幅が1.5m以上あり、敷地内に一時 滞留できる避難上有効な空地があるもの。 ③ 道路に至る専用通路の延長距離が20m以内で、専用通路の幅が1.5m以上あり、同様の状況に ある隣地専用通路の幅と併せて3.0m以上あるもので、当該所有者と通行利用等についての合意 があるもの。 | 豊中市 |
43条但し書き、43条2項の認定や許可を受ける事で再建築不可が再建築可能になる?
ここまで説明してきて、43条但し書きや43条2項の許可を受ければ、再建築不可のものが再建築可能になるの?と思われた方も多いと思います。
答えはYESです。
但し書き道路は再建築不可を再建築可能にする救済措置
43条但し書きや2項の許可というものは、基本的には密集市街地での建て替えの促進の為に、建築基準法の道路に接していなくても建て替え出来るための救済措置です。
しかし、但し書きの許可で救済的な面ばかりが重視されると、質の低い市街地が再生産されてしまう恐れがあるため、各市町村がバランスを取りながら許可基準を決めています。
43条2項の認定や許可を受けるためには、空地の誓約書などが必要
43条2条の認定や許可を受ける上で、ものすごく重要な事があります。
それは、その敷地が接している空地(43条2項の認定や許可を受けた道路状の空地、但し書き道路などと呼ばれるものです)を道路状に維持管理をするという空地所有者の誓約書が必要になるという事です。
この誓約書が無いと、この道路状の空地に勝手に建築物を建ててしまう事も可能です。
行政としては、建築基準法の道路ではないけど、道路として維持管理される予定の空地に接しているから建築確認を出すわけですね。
なので、この道路状の空地に勝手に建物を建てられたら困るわけです。誓約書が必要なのはこのためです。
空地所有者が自分であれば、自分が空地を管理する旨誓約書を提出すればよいわけですが、所有者が他にいる場合は、他の所有者が道路として管理する旨の誓約書が必要になります。
この道路所有者からの誓約書が提出されることにより、建築基準法外道路だったものが、43条2条2項の認定や許可を受ける事が出来る空き地として認定されるのです。
このようにして43条2条2項の認定や許可を受けられるようになった通路が「43条但し書き道路」「43条道路状の空き地」「但し書き道路」「赤道(アカミチ)」と呼ばれるものです。
43条2項の許可の手数料は幾ら?
43条の許可については、役所に払う手数料だけで6万円位が一般的です。
一般的には建築士にお願いする事が多いと思いますが、その場合は43条2項2号の許可の手数料と書類作成代行費用合わせて10万円程度、建築確認申請等の費用と合わせて50万円位が一般的です。
43条2条2項の許可を得るには、セットバックは必要?
基本的に43条2条2項による許可を得るためには、一般的な不動産と同じように、道路(空地)の中心から2mは道路部分として提供する必要があります。
また、建築基準法の道路に2m接していない場合でも、終端整備敷と言って、通路部分の終端に2m×2m以上の空地を設けなければならない事があります。
43条2条2項の許可を受けた不動産は住宅ローンは組める?
43条2条2項についてですが、大手銀行と地方銀行で担保評価が異なります。大手銀行の場合、43条但し書き、43条2条2項の許可を受けて建てられた建築物であってもローンが通らない事が多くあります。
特にメガバンクと言われるところは担保評価が厳しく、住宅ローン自体が組めないというところもあります。
地方銀行であれば比較的ローンは通りやすいですが、基本的には、43条2条2項の包括同意基準、一括同意基準に適合しないとローンを組むのは難しくなります。
個別同意基準などによって建てられた建築物の場合、地方の信用金庫や、フラット35の場合通る可能性があります。
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著者プロフィール
株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋樹人
法政大学工学部建築学科卒 2020年より同社代表に就任、ニッチな不動産でお馴染みURUHOMEを立ち上げ後、日本全国から不動産の悩みが寄せられる。不動産業界における高すぎる広告費の問題から、利用者と不動産業者のマッチングが適切に行われていない事を問題ととらえ、業界初の不動産業者も利用者も無料で利用できる不動産SNSウチカツ(UCIKATU)を2022年にリリースした。