不動産の相談会を10年前位から年2回のペースで行っておりますが、相談内容様で一番多いのは旧法が適用される借地に関する相談です。
1992年の借地借家法制定以前の旧借地法に関する相談について述べていきます。
借地権に関するよくある相談
近年、借地権の期間満了や、借地権付き建物を利用しなくなったという事で
「地代が負担になっている」という相談や
「借地を売却したい」という相談を多数いただきます。
そして、今回は下記のようなよくあるご質問にお答えしていこうと思います。
適正地代と地代の値上げについて
最近よくある相談は、地主にある日突然「地代を値上げしたいと言われた」
というご相談です。
地代が適正でない場合、適正と思われる地代への値上げを要求されますが
この地代が相当であるかどうかは悩ましい所です。
地代の値上げが適正かどうか、どのように判断したらよいかについて解説いたします。
適正地代の計算方法
地代が適正かを計算するには、「路線価から計算する方法」と、
「公租公課から計算する方法」があります。
路線価から計算する方法
この方法の場合、実勢価格は路線価の1.25倍ほどであることから、㎡あたりの路線価に㎡数をかけて、1.25をかけることで更地価格を計算します。
路線価×地籍(平米)×1.25=更地価格
つまり、例えば更地価格が1000万円位の住宅地であれば、地代は年間10万円
更地価格が1000万円の商業地であれば、20万円位になります。
公租公課を基準に計算する方法
また、固定資産税と都市計画税に3倍から8倍をかけたものが地代の適正価格であるという計算方法もあります。
等があります。
「公租公課を基準に計算する方法」は地主に確認するか、
あるいは地主から土地の評価証明取得に関し委任状を受け取得し確認する方法があります。
ただこの方法の場合、地主は直接の利害関係者となる為、固定資産税と都市計画税を教えてもらうのは難しいことが多いです。
その他にも
「周辺地域の取引事例から計算する方法」
「土地の期待利回りを路線価の都市基準計算する方法」
などにより適正地代を計算できますが、
これらの方法は不動産鑑定士の専門家に依頼しないと計算が難しいものです。
ですので、一般の方が適正地代を確認する場合、
「路線価から計算する方法」がベストです。
又上記計算方法で算出された地代の範囲であれば妥当な地代といえ、地主との話し合いをお勧めします。
もしどうしても納得出来ないという事であれば「調停」の申し立てをすることになり調停不成立の場合は訴訟となり「判決」で決定となります。
地代で裁判になっちゃうこともあるんだね
すぐに裁判ではなく、まず調停から始めないといけないんだ。いきなり裁判には出来ないし、ならないから調停で和解できると良いよね
更新料って払う必要があるの
現在ある更新のトラブルはすべて旧法によるもののみです。
そして、更新トラブルは大体が更新料の支払いをすべきか否かで揉めることが多いのです。
更新料については、法律で何の定めもないので原則として、契約で特約がない限り、借地人は更新料の支払いを拒否する事も可能です。
更新条件が折り合わず、地主の了解を得られなくても、借地人は「法定更新」という保護のもと借地権は失われません。
「法定更新」も合意更新と同じで前契約と同一条件で更新されたものとみなされますが、更新後の期間中に建物が荒廃すると、借地権は消滅します。
法定更新をすれば安心という事ではありません。
きちんと合意して借地権が更新されたわけではないため、法定更新は将来建て替えや、売却に不都合が生じる場合があります。
更新料の相場について
合意による「更新料」は更地価格の3%~5%が相場となっております。
若しくは、借地権価格の5%程度の所もあり、地域によっても異なります。
更地価格の算出に必要な路線価や借地権割合は国税庁のホームページから確認できます。
更新するしない、更新料払う払わないで良く揉めるんだよね
法定更新や更新料を払わないと言い張って居座る借地人さん、法外な更新料を請求する地主さん、色々な方が居るけど自分の事ばっかり言っていたら揉めるよね
借地権の売買は出来るのか?
そして、良くある相談に借地権を相続したのだが、利用する事はないので借地権として売却したいという相談を受ける事が多くあります。
借地権を売買するためには、建物が登記されている事が条件となります。
※建物登記がされていない場合「建物の建築確認申請書」「課税証明書」等建物の所有権を証明する書類が2点以上あれば登記できることがあります。
借地上の建物が登記されていれば、第三者にも売却する事が出来るので、その場合は不動産SNSウチカツを利用して、借地権の査定をしてもらうようにしましょう。
第三者に売却する場合
第3者に売却する場合は地主の承諾が必要となり、一般的には譲渡承諾料として借地価格の10%あるいは売却価格の10%を地主に払う必要があります。
良く「借地権を売却したいと地主に言ったら、タダで借地権を返してほしいと言われた」
という相談を受けます。
しかし、借地権は借地人の権利ですので無償で地主に返却する必要はありません。
尚建物登記の件ですが相続発生時に建物の登記がされていない場合被相続人名義で建物登記をすることは可能ですが 建物の建築確認申請書 課税証明書等所有権を証明する書類が2点以上必要となります。
借地権の事で悩んだら
借地権の事で悩んだら、不動産SNSウチカツに相談する事をお勧めします。
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匿名でご相談した後、一番気の合う不動産業者に直接相談が出来ますので、ご利用なさってみてください
著者プロフィール
株式会社ドリームプランニング 相談役 高橋政広
中央大学商学部卒 株式会社三武などを経て、2005年 底地、再建築不可などに特化した不動産買取業者「株式会社ドリームプランニング」を創業 同年代表取締役に就任 2020年より同社相談役 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士