ガソリンスタンド跡地は、他の用途で活用したり売却したりする際に、少々厄介に感じる物件のひとつです。
その理由は、ガソリンを取り扱っていたことによる土壌汚染の可能性や、油特有のにおい、ガソリンスタンド廃業により関係各所への届出が必要な点など。
しかしその一方で、ガソリンスタンドは交通量の多い場所に作られることが多く、適切な対処をすることで有効に活用できるだけでなく、条件設定によっては高く売却することも可能になるのです。
そのためには、専門知識の豊富な不動産会社の力を借りることが必要不可欠です。
ガソリンスタンド跡地の売却には、専門業者に直接相談や査定依頼を出来るウチカツがおススメです。
スタンド跡地の活用例から解体費用・高値で売る方法まで徹底解説!
ガソリンスタンド跡地を売却、活用する際の問題点
ガソリンスタンドとして土地を貸したり、経営したりしていて、他の用途に転換できないかと思う事もあるかと思います。
でもガソリンスタンドの跡地は、一般の土地と違い、他の用途で活用したり、売却したりする際の問題点があります。
土壌汚染の可能性がある
土壌汚染対策法の特定有害物質で、ガソリンスタンドで考えられるのは、1980年代以前にガソリンに含まれていた「鉛及びその化合物」と、現在でもガソリンに1%ほど含まれている「ベンゼン」です。
ガソリンスタンドを廃業し、他の用途で活用したり、売却したりする際には、基本的に土壌汚染の調査をすることを条件とすることを、新しく利用する方や、購入する方から求められます。
そして、一定規模以上の土地の売買などになると、土壌汚染対策法や、地方自治体の条例により調査義務が必要になります。
そして、土壌汚染が見つかった場合の除去費用は下記の通りで、発見された場合は汚染された土壌を入れ替えしなければなりません。
名目 | 金額 | 内容 |
地歴調査 | 10~15万円 | 過去の土地の履歴を古い地図や謄本などから調べる調査方法 |
土壌汚染調査費用 | 20~30万円/100㎡ | 土壌汚染の恐れがある地域での調査費用 |
土壌汚染調査費用 | 20~30万円/900㎡ | 土壌汚染の恐れがない地域での調査費用 |
汚染土壌の処分費 | 12000~20000円/トン | 鉛などによる汚染土壌を掘削して処分。油が含まれる場合は更に高くなることも |
VOC(揮発性有機化合物)を含む汚染土壌の処分費 | 17000~40000円/トン | VOC(揮発性有機化合物)を掘削、現地にて条かして処分 |
掘削後の埋め戻し費用 | 10000~15000円/トン | 整地工事も含めた埋め戻し費用、大型車が範裕可能な場所での相場 |
土壌汚染対策法や、自治体による規制がある
土壌汚染対策法によって土壌汚染の恐れがある一定規模(3000㎡)以上の土地の形質の変更(違う用途に変更することなど)や、土壌汚染による健康被害が生ずる恐れがあると都道府県が認める土地については、土壌汚染調査の義務があります。
加えて、一部の自治体でも、一定規模以上(自治体により異なる)の土地の区画形質の変更などに、地歴調査結果の届出を行う必要などがあります。
※東京都:都民の健康と安全を確保する環境に関する条例、埼玉県:環境保全条例、千葉県:土壌汚染対策指導要綱など
※ガソリンスタンドを廃業した際に土壌汚染対策法第3条によりガソリンスタンドが特定有害物質を使用する施設のため、調査義務があると書いているコラムもありますが、実際は特定有害物質を使用する施設にならないため、土壌汚染対策法第3条による届け出は不要です。
重要事項説明による説明義務
ガソリンスタンドに関しては、土壌汚染などが発見される可能性があるため、重要事項説明の際に、土壌汚染の可能性がある事を明示しなければならなくなります。
不動産を売却する際には「告知義務」というものがあり、瑕疵(欠陥)のある不動産を売却する場合、売主は買主に対して、瑕疵の内容を詳細に伝えなくてはいけないと定められています。
土壌汚染について説明がないまま契約してしまい、後々土壌汚染が発覚した場合、契約不適合責任により解約されることもあるので注意しましょう。
「契約不適合責任」とは、引き渡された不動産の状態と契約内容が一致していない場合に、売主が買主に対して負わなくてはいけない責任のことです。
契約不適合責任を問われると、売却金額の減額よりも大きな損失が出てしまう可能性もあります。
不動産会社に仲介を依頼して取引を行う場合であっても、ガソリンスタンド跡地であることは必ず伝えたうえで、双方が気持ちよく取引を終えられるようにしましょう。
土壌汚染は大体ガソリンタンクや、埋設管に亀裂が入っている事などから生じますが、実際はタンクや埋設管に亀裂が入っている事は少なく、2000年以降に建てられたような比較的新しいガソリンスタンドの跡地から土壌汚染が見つかる事は多くはありません。
土壌汚染の可能性があるガソリンスタンド跡地の売却には規制や説明義務があるんだね
土壌汚染が見つかることもあるので、売却する場合は買主さんから地質調査を条件にされることが多いよね
油の匂いが残る
ガソリンスタンドの跡地では、油の匂いが残ってしまう事は少なくありません。
これに関して環境省では油汚染対策ガイドラインを設けていて、油臭や、油膜の除去方法を公開しています。
他の用途で活用する場合、売買する場合はもちろんですが、ガソリンスタンドの影響で近隣にも油臭や油膜が生じてしまっている場合は適切な措置をして売却するなどしましょう。
名称 | 土壌汚染対策法 | 油対策ガイドライン |
目的 | 人の健康被害防止 | 生活環境保全上の支障を除去 |
対象物質 | 鉛、砒素、トリクロロエチレン等の特定有害物質 | 鉱油類:ガソリン・灯油・軽油・重油等の燃料油、潤滑油等 |
調査の契機 | 特定施設の廃止時、都道府県知事が命令 | 土地所有者等が油膜を発見、油臭を感知した時 |
基準値 | 指定基準、地下水基準 | 個別の土地ごとに判断 |
特徴 | 法で定められた調査方法 | 個別の土地ごとに人の感覚で判断 |
タンク取り出しの等による高額な解体費用
ガソリンをためる地下タンクですが、解体工事の際に完全に撤去するにはそれなりの解体費用がかかります。
そこで、上からコンクリートで蓋をするという方法もあるのですが、完全に撤去した場合は、新しくその上に建物を建てられるのに対し、蓋をして廃止しただけの場合、資材置き場などとして利用するしかありません。
そこで結局、建物や地下タンクを全て解体する事になるのですが、解体費用は300~1000万円位かかります。
さらに土壌汚染があれば数千万円の解体費用になります。
解体の難易度が最も高い地下タンクは、「タンク内のオイルを吸い込む」→「タンク内の油分の中和」→「タンク内に不燃性のガスを充填」→「タンクの埋め立て」と結構大変な作業になります。
タンクの撤去については、埋設物にかかった費用2/3を上限に補助金が受けられることもあります。
一般社団法人 全国石油協会のページへようこそ! (sekiyu.or.jp)
建物解体費以外にも、タンクの解体費、土壌汚染があったら除去費用もかかるんだね
売却前提であれば、不動産業者で見積もりしてくれるところもあるよ。一度ウチカツで相談してると良いよ
廃業の届け出でなどの相当な手間がかかる
デメリットというか、廃業するのに諸々な届け出をすることは忘れてはなりません。廃業に関しては創業手続きの数倍複雑です。
ガソリンスタンド跡地のメリット
ガソリンスタンド跡地はそのままでは売却が難しい反面、手をかけてでも活用・売却するだけのメリットがある土地でもあります。特に着目すべきメリットは以下の2つです。
車が出入りしやすい立地の良さ
ガソリンスタンドは、ほとんどが車の出入りしやすいロードサイドに建っています。
交通量の多い場所にあるため、多くの人を集めたい業態や、車を多く停められるスペースを必要とする店舗での活用であれば、多くの収益が見込めると言えるでしょう。
ロードサイド店舗の立地には、商業施設や飲食店など様々な用途で利用可能です。
建物を利用する場合は安全性が高い
ガソリンスタンドに建てられた建物は、構造上の安全性が高いのが特徴。
ガソリンや灯油といった危険度の高いものを扱うため、消防法をはじめとした厳しい規則に従って、建築構造が強固なものに設計されています。
大きな地震が起きても倒壊する恐れが少ないだけでなく、万が一停電した場合に使用できる自立型電源や、貯水槽なども設置されています。
こうした理由から、災害時支援避難所として指定されている店舗もあるほど安全性が高いので、建物をそのまま利用する場合には、ガソリンスタンドに建てられた建物を利用するのも良さそうです。
ガソリンスタンド跡地の活用例
ガソリンスタンド跡地の安全性の高さや立地の良さを生かすには、どのような活用法が考えられるのでしょうか。ここでは6つの活用法について紹介します。
駐車場にする
広い敷地を活用した駐車場も、ガソリンスタンド跡地の有効活用の選択肢のひとつ。建物を解体するための費用はかかりますが、安定した収入を得られるという点がメリットと言えます。
駐車場には月極とコインパーキングの2種類がありますが、立地によって選択可能。
マイカー利用者の多い住宅地が近い立地であれば月極、商業施設や駅が近いようであればコインパーキングにすると、集客が見込めると言えます。
セルフガソリンスタンド
まず考えられる活用法は、ガソリンスタンドの設備をそのままに、セルフガソリンスタンドとして経営するというもの。
まず考えられる活用法は、ガソリンスタンドの設備をそのままに、セルフガソリンスタンドとして経営するというもの。
スタッフが給油を行うガソリンスタンドとは違い、セルフガソリンスタンドはお客さんが自ら給油します。その分人件費が抑えられるだけでなく、24時間営業も可能になるため、通常のガソリンスタンドよりも利益が出る可能性があるのです。
また、近年ではガソリン以外の代替エネルギーで動く自動車も普及し始めています。給油スタントとしてだけでなく、充電スポットとしての設備を備えれば、さらに活躍させる機会があると言えます。
ロードサイド店舗
幹線道路沿いで交通量の多い場所にあるガソリンスタンド跡地であれば、ロードサイド店舗として活用するという方法もあります。
広い駐車スペースを確保しつつ、車の乗り入れがしやすいという利点を生かして、携帯ショップやコンビニ・ホームセンター、ファミリーレストラン、スーパーなど、幅広い店舗に応用可能です。
トランクルーム
長期的かつ安定した収入を得ることを目指したい場合は、車の乗り入れが容易という利点を生かした、トランクルームとしての活用も検討してみましょう。
日本では狭い都市部周辺に多数の人が住んでおり、近年は人口集中と地価上昇によって、居住空間は狭くなっています。
そのため、トランクルームは元々アメリカで利用されていましたが、日本でも今後市場が拡大することが見込まれます。
敷地面積が広くなくても、利用面積に合ったトランク数の設置が可能で、さらに最低限の管理で運営できるため、人件費がかからないという魅力があります。
賃貸用のトランクルームであれば、専門業者から誰でも1基50~100万円位で購入できます。
ガソリンスタンド跡地って色んな活用方法があるね!
場所によってはかなり高く貸るし、高く売れるんだ
遊休地
「遊休地」とは、空き地としての暫定的な使い方をしている土地のことをいいます。次の活用法を協議中であったり、いい活用法が見つからなかったりといった場合の一時的な対処法ですが、土地の有効活用はできておらず、収益は見込めません。
土地は所有しているだけでも固定資産税や都市計画税がかかってしまうため、遊休地として一時的に放置しておく場合でも、トータルでどのくらいの費用がかかるかは把握しておく必要があります。
固定資産税は「土地の評価額×1.4%」、都市計画税は「土地の評価額×0.3%」で計算されるため、年間で評価額の1.7%におよぶ税金を納めなくてはならないのです。所有する土地のあるエリアによっては、固定資産税と都市計画税だけでも相当な出費になってしまいます。
また、遊休地はただ放置しておけばいいというわけでもなく、適切な管理をしなければはならないという点にも注意が必要。雑草や害虫が発生したり、ごみのポイ捨てや不法投棄が目立ったりすると、近隣住民からクレームを受けることになります。
特にガソリンスタンド跡地として建物が残っている場合は、人が立ち入らない・外から見えにくいという理由から、犯罪の温床になってしまう可能性も否定できません。
管理人として定期的な見回りや、自身での管理が難しい場合は外部業者に委託するなども考える必要があります。しかし、遊休地を管理するだけでは、費用がかかるだけで収益は発生しないという点も頭に入れておく必要があります。
こうした理由から、次の活用方法が見つからないということであれば、早めに売却するための行動を起こした方がいいと言えます。
ガソリンスタンド跡地を売却する方法
ガソリンスタンド跡地を手放す方法には、建物が残っている「居抜き」の状態で売却する方法と、建物を解体して更地の状態で売却する方法、そして買取専門の不動産会社に依頼して買い取ってもらう方法があります。
ガソリンスタンド跡地を売却する場合は、残っている建物や設備、土地の状態について正確かつ詳細に把握して買主に伝える必要があるため、必ずガソリンスタンドの跡地の売却経験のある不動産会社に依頼して取引することをお勧めします。
居抜き物件として売却する
ガソリンスタンドを経営していた際の設備や建物自体がまだ使える・古くなっていない場合は、「居抜き物件」として売却する方法が考えられます。
設備が何もついていない物件を借りて一から店舗を作り上げるには、設備投資や工事に多額の費用がかかります。
その点居抜き物件であれば、ガソリンスタンドとして運営されていた時の設備の一部を、そのまま貸出または譲渡することで、借主側が早期に店舗を営業開始できるというメリットがあります。
居抜き物件としての貸し出しはガソリンスタンドとしての活用にとどまらず、中古車販売店等としてリニューアルされるケースもあります。
建物解体後に更地として売却する
建物や設備が残っている状態だと、使用用途が限られたり、他の業種で土地を利用する際に解体費用がかかったりするという理由から、なかなか買い手が見つからないことも少なくありません。
その場合は建物を解体して更地にした状態で売りに出すことも、視野に入れる必要があります。
更地の状態で売却することで、買主側の購入目的を限定しないため、建物が残っている状態よりも需要が高く、高値で売却できる可能性があるのです。
ただし、建物を解体して更地にするためには高額な費用がかかるという点には注意が必要。建物の構造にもよりますが、およその解体費用の相場は下記のようになっています。
建物の構造 | 解体費用 |
鉄骨造 | 3.5~4.5万円(1坪あたり) |
鉄筋コンクリート造 | 5~7万円(1坪あたり) |
これとは別にタンクなどの除去費用がかかるので、結構な金額になります。
買取専門の不動産会社に買い取ってもらう
ガソリンスタンド跡地の売却の為に自分で調査するなどの費用や時間をかけたくない方や、建物の解体に手間や費用をかけずにそのまま売ってしまいたいという人は、買取専門の不動産会社に買い取ってもらいましょう。
一般的な買取業者の場合は、ガソリンスタンド跡地を買い取っても、次の売却先が見つからない・土地活用のために多額の費用がかかるという理由から、安くなってしまったり、買取を拒否されたりする場合もあります。
そのため業者を選ぶ際には、ガソリンスタンド跡地のような特殊な物件や土地の買取に特化した業者を選ぶことをおすすめします。
ガソリンスタンド跡地を売却する場合、後に解説するような土壌調査や対策工事をしなくてはいけない場合もありますが、買取の場合はそれらも不要ですぐに売却可能です。
売却方法にもいろんなやり方があるんだね
ウチカツでどんな売却方法が良いか一度相談してみよう!
ガソリンスタンド跡地の売却は専門業者に任せましょう。
ガソリンスタンド廃業後、土地の活用や売却を考えているのであれば、まず不動産会社に問い合わせ、どのような活用方法があるのか、もし売却するとすればどれくらいの価格になるかを相談してみるのがおすすめです。
ウチカツを利用すると全国の不動産会社へ匿名かつ無料で相談可能です。相談内容に関して、複数の不動産会社が回答するため、回答を見たうえで一番希望に近い取引ができそうなところに依頼するといいでしょう。
また、一括査定により「売出し価格の査定」と「買取価格の査定」をしてもらう事も可能です。ウチカツでは、訳あり物件の買取業者の登録も他のサイトに比べて一番多いため、複数の買取業者の中から、最も納得できる査定内容の不動産業者に売却することも可能です。
ウチカツに登録している不動産会社の中には、ガソリンスタンド跡地のように通常の方法では売却が難しい「訳あり物件」を専門に取扱う業者数が他のサイトに比べて一番多く、まず相談から出来るというサービスはウチカツ以外にありません。
ガソリンスタンド跡地の活用・売却は、必要な手順・対策を行わないと、後に大きなトラブルに発展する可能性もあります。ウチカツを利用し、一番良さそうな不動産会社に相談し、活用するか売却するかを決めるようにしましょう。
著者プロフィール
株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋樹人
法政大学工学部建築学科卒 2020年より同社代表に就任、ニッチな不動産でお馴染みURUHOMEを立ち上げ後、日本全国から不動産の悩みが寄せられる。不動産業界における高すぎる広告費の問題から、利用者と不動産業者のマッチングが適切に行われていない事を問題ととらえ、業界初の不動産業者も利用者も無料で利用できる不動産SNSウチカツ(UCIKATU)を2022年にリリースした。